子どもの便秘

便は、からだからの「便り（たより）」といいます。
もしお子さまが便秘の場合は、生活の全般を見直してみる、よい機会かもしれません。

腸のはたらき

腸の長さは、約8メートル。小腸が6.5メートル、大腸が1.5メートルです。
身長のおよそ７倍といわれます。子どもと女性の場合は、もっと長いため７倍以上となります。
その長い腸のなかで、何が行われているのでしょうか。

老廃物を排出

栄養や水分を吸収された後の食べ物の「かす」や、腸内細菌の死骸などの塊で「便」がつくられ、体外へ排出されます。
重金属系（アルミニウム）など、体に有害とされるものが便と共に排泄されます。
便秘で老廃物（便）が腸内に停滞すると、悪玉菌が増えて腸内環境が悪化します。

栄養を体に吸収する

胃で消化された食べ物を小腸から体内へ吸収します。
小腸で栄養を吸収し、その残りから、大腸で水分やミネラルを吸収します。

有害な菌から体を守る

免疫を担うリンパ球の60%が、小腸で活動しています。
口から入った病原菌などの有害物質は、小腸のリンパ球で撃退されます。
善玉菌が、病原菌の住みにくい環境をつくります。

腸内フローラ

「腸内にすむ菌の群れ」のことです。
腸の中を顕微鏡で見ると、腸内細菌が「花畑（フローラ）」のように見えることからこう呼びます。
善玉菌２割＋悪玉菌１割＋日和見菌７割、が理想的な状態とされます。

善玉菌

ビフィズス菌、乳酸菌、納豆菌、酵母菌、麹菌、など。
腸内を酸性にし、悪い菌が生育できない環境に整えます。
腸管のはたらきを高めます。
ビタミンを合成したり、消化吸収を助けます。

悪玉菌

ブドウ球菌、ウェルシュ菌、大腸菌、など。
腸内を腐敗させ、アンモニアやガスを発生させます。
発がん物質をつくり出すこともあり、さまざまな不調の原因となります。

日和見菌

バクテロイデス菌、連鎖球菌、など。
健康なときは大人しくしていますが、からだが弱ったりすると悪い働きをします。

子どもの便秘の特徴

新生児〜6カ月ごろまでの子どもは、直腸や肛門の機能がまだ未発達です。いきむ力もないので、便は、腸の反射的な動きで排出されます。赤ちゃんの腸は日々成長し、腸内環境が変化しているため、一時的に、便秘になることもあります。

離乳食が始まると、腸内環境が変わり、徐々に消化吸収する力が発達してきます。
1歳を過ぎる頃になると、大脳が発達して便意を感じられるようになってきます。便が直腸までおりてきた時の刺激で便意を感じますが、子どもはまだ発達が未熟なために、便意に気がつかないこともあります。そのため、３歳ぐらいまでは、直腸に便がたまる「直腸性便秘」となりやすいです。

小学生以降になると、自宅以外で過ごす時間が増え、便意を我慢せざるをえない状況が出てきます。また、学校や塾でのストレスが、便秘の原因となる場合もあります。