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近年、注目されている医学研究のひとつに「経皮的耳介迷走神経刺激」があります。
その基となっているのが、てんかんの治療法である「迷走神経刺激療法」です。これは、外科手術によって、首のところを切開し、迷走神経を出して電極を巻きつけ、胸部に刺激装置を入れる方法です。この装置で、迷走神経に繰り返し電気刺激を送ることにより、発作を減らしたり、発作の程度を軽くすることができます。
迷走神経刺激療法は、脳の各部分を活性化し、脳の機能を高めることから、臨床応用が進んでいます。てんかんだけでなく、うつ病、頭痛、心不全、脳卒中後の上肢リハビリテーション、パーキンソン病、アルツハイマー病、炎症性疾患、など数多くの病気に対して効果をあげています。
また、感情の安定、日中の覚醒度や記憶・意識決定能力の向上、の作用もあることがわかっています。これは、患者の全般的な生活の質の改善にも繋がります。
この迷走神経刺激療法は、その後の研究で、外科手術無しに、迷走神経の枝(分岐した神経)が走向している耳を刺激しても、同様の効果があることを発見しました。それにより誕生したのが「経皮的耳介迷走神経刺激療法」です。
耳ばりは、経皮的耳介迷走神経刺激療法のひとつの方法です。
迷走神経が、唯一、体表に露出している、耳のくぼんだ領域に対して施術します。当院では、おからだの状態や、疾患に応じて、鍼(豪鍼、皮内鍼、てい鍼)、耳粒、温灸器を使います。
それによって、脳と体、自律神経、ホルモン、免疫にはたらきかけ、さまざまな不調を改善することができます。
耳に打った豪鍼に微弱電流を流す「経皮的耳介迷走神経電気刺激」<電気鍼>は、大人の脳疲労、うつ病、てんかん、自律神経失調症、過敏性腸症候群、慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)などに対して、大きな効果があります。
「耳鍼による経皮的耳介迷走神経刺激」は、ヒトの恒常性と自己治癒力活性化して、さまざまな病気や不調から回復することができるのです。